「編むこと」の価格

“You are hurting me” とある女性が言いました。

“You are hurting me” いろいろなときに使われる表現なのですが、例えば、誰かがあなたの足を踏んでいるのに気がつかないときに「痛いんですけれど」という感じで使ったり、とても意地悪な無神経な言葉をかけられたときにも”You are hurting me”が使えるのですが、この女性が使ったのはどちらでもありません。

彼女はとても編み物が上手で、メーカーの下請けもしている人なのですが、それだけの実力を持つ人なので、例えば誰かに「ソックスを編んでくれないかしら?」と言われたら毛糸の料金はもちろん、編み賃として30ドル前後を請求しているそうです。毛糸とあわせたら50ドル以上ですから決して手頃な価格のソックスとは言えませんが、でも、ソックスを編むのにどれだけ時間がかかるか知っている私に取ったら、法外な価格とは思えません。

彼女がソックスを編んで30ドルチャージしているのと聞きつけた彼女の友人が「私に頼めば15ドルでソックスを編んであげるわ」とまわりの人たちに言ってまわってしまったんですね。そこで、彼女は言いました。

“You are hurting me” そう、ビジネスが思うようにいかず利益が出ないときなどにもこの表現を使います。

彼女が言うには、「15ドルで編む」という女性の編み物のうでは今ひとつ。さらにスピードも遅いために自分が提供しているサービスと同じ質のサービスができるはずがない。編み上がりの出来具合だって比べてみたら一目瞭然。でも、人が低価格に流されるのは世の常。15ドルのサービスで満足する人が増えたら30ドルのサービスの質の高さを理解する人が減っていく。すると自分のところに編み物を頼みにくる人の数が減少する。だから、”You are hurting me”なのでしょうね。

自由競争ですから、彼女の友人がやっていることはわるいことではないんですよね。でも、労働の価値を低くして行ったら行き着く先はどこなのでしょう? 仕事をこなすのは人間で、その質に値がつかなくなったら困るのは人間。もし、質をそのままにして価格を下げたい人がいたら、さてどうする? 

いや、ちょっと考えさせられてしまいました。

ポチッと、お願いします
にほんブログ村 ハンドメイドブログ 編み物へ

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中